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シンデレラマン

評価 : ★★★★☆
(2005/9/17公開 アメリカ/ブエナビスタ 144分)

心で語り継がれる《奇跡の実話》

さすが、ロン・ハワード監督だなあ。
この人の描く人間ドラマは安心して観られるので。
(普通すぎて嫌いっていう人もいるけど・・・)

パンフレットの最初のほうに、
「家族の幸せだけを願っていたら、いつの間にか”アメリカの希望”になっていた・・・-これは、そんな父親の物語です」
と書いてあるのですが、まさにその通りの実話を映画化したお話です。
かつては無敵で負け知らずで羽振りのよかったのボクサーのジェームズ・J・ブラドッグ(ラッセル・クロウ。以下、役名をジムと記す)とその妻メイ(レネー・ゼルヴィガー)、そしてその間の3人の子ども達は、ジムの右手の故障から運に見放され、大恐慌のあおりをまともに受け、どん底の貧困生活を送っていた。ある日、勝ち目のない試合の話を持ちかけられてジムはまたリングへ復活し、やがて一夜にして栄光をつかんで国民的ヒーローになる・・・というお話。
ただのボクシング映画ではなく、家族愛と人間そのものの内に秘めた力がテーマになってて深い感動作品でした。

何より、ジム・ブラドッグを演じるラッセル・クロウがイイ!彼と子ども達の間には深い家族の絆と愛情が見える。
ボクシングのシーンも、映画の中のボクシングを鑑賞に来ている客たちと一緒に立ち上がって拍手を贈りたくなるほどで、迫力あるファイトシーンがリアル・・・もっとも本当のボクシングはあんなに顔面パンチ入れたら顔の形が変わってしまうのが普通なのだがそこは映画なので・・・それでも充分な迫力だと思ったけど(^^;
この作品はきっと彼の代表作の一つになるでしょう。

妻のメイを演じるレネー・ゼルヴィガーが夫を心配している姿や、子ども達に何もしてやれないお金がない状況を悔やんで外へ飛び出すシーンもいい。(あれは家庭を持ってる人でないと分かりにくいシーンかもしれないが・・・)

脇役でジムのマネージャーのジョー・グールドを演じるポール・ジアマッティも上手い!ブラドッグに次々に激を飛ばすシーン、貧困で生活費に困ってプライドを捨てて援助を願いに来たブラドッグを心から哀れそうに見る眼、私財を投げ打っていたことがメイにバレるシーンなどがとてもいい。助演男優賞をあげたいくらい!
この人の奥さん役の人も、主人を心から信頼しているんだなあという夫婦の絆を感じさせてくれてよかった・・・勝つか負けるかわからないような人のために自分の家の財産を全て投げ打つことに了承できる奥さんなんてなかなかいないもんね。

それにお金に困っていてお金の話がたくさんでてくるのに、強欲にならずこの作品に品位を持たせているところがいい。
主人公は必要以上の金に対する欲がない。彼が欲しているのは家族を守るためのお金であって、自分が遊ぶために使うお金ではないということ。彼の幸せは家族の幸せ、そこがまさに理想の父親像。

かけがえのないもの、守るべきもの、大事なモノを背負っている人間はいざという時の強さが違うね。
なくすものが何もない人生よりも、大切なものを見つけた後の人生のほうが(常にいつなくしてしまうかもしれないという不安はつきまとうかもしれないけれど)より充実した人間らしい生き方ができるんじゃないかな。ラストの対戦相手のように派手な生活をすることや勝ち負けにこだわるより、慎まい生活で挫折も知っている人生のほうがより心が豊かかもね。それに自分のためじゃなく戦ってるっていうのがすごくいいんだよなあ。
落ちたところからでも這い上がってくる、まさにアメリカンドリーム・・・だから彼は国民的ヒーローとしても称えられたのでしょう。(実在する人らしいから、ラストのエンドロールにでも本当のファイトシーンの映像をちょこっと流してくれたらよかったのになー、見てみたかった。1974年に67歳で亡くなっているので、ボクシングをしていた頃の映像があるかないかわからないけど・・・映画ではラジオ中継だったしなあ)
人生とは、常に決まったストーリーがなく再演できないハプニングがつきものな生の舞台。
どんな場所で、誰と共演するか、どんな物語になるか、どこで降りてしまうか降ろされてしまうか、それは誰にもわからない。
だけど、上演終了後に、自分の人生を生き抜いてよかったなあ、と思える人生であること、それが何より重要。
きっと、この主人公のジム・ブラドッグ本人も、途中どん底に落ちた時期もあるけれど、最期はよかったなあと思えたと思います。ラストに一気にその後の人生が語られた時に、私はそう確信しました。

・・・って、絶賛しといて、満点じゃない理由は~・・・再起をかけたボクサーにしては見た目が~・・・「グラディエーター」の時の筋肉はどこへ行ってしまったの?って感じでね(^^;
ファイトシーンはよかったんだけどね、なんか見た目が勝てそうになかったもので・・・子どもに譲って食事もろくにとってないしさぁ、あんなので本当に勝てるのか?と矛盾を感じてしまった・・・まあ、守るべきもののために戦ったんだから勝てたのかもしれませんがー・・・。
あと、どん底に落ちた生活苦がなぜかそんなに感じられなかったところ・・・なんでだろうなぁ・・・みんな演技上手いんだけどなぁ。レネーが貧しくなってからも、ちっとも痩せて見えなかったからだろうか・・・。

# パンフレットは700円。この映画に対するロン・ハワード監督の熱意が感じられます。あと、プチトリビアとして、恐慌時代に割れたガラスを交換する余裕がなかったためセロテープがバカ売れしたというエピソードなんかも書いてました。

「シンデレラマン」関連サイト
Universal Pictures:Cindereraman
シンデレラマン

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Comments

お薦めした甲斐がありました。やはりgood choiceでしたね(^^)。ラッセル・クロウ、私は逆に喰っていないにしてはいい体してるな~と思って観てました(笑)。確かに殴り合ったにしては顔の傷はたいしたことないけど、拳や肋が折れる時は何故かX線映像が映って、ベリッと痛そうでした。

Posted by: 小太郎 | 2005.10.30 05:55 PM

たしかにあのレントゲン写真(本物(^^;?)が映ることでより痛そうってのが感じられましたねー。実際、撮影中に大怪我したみたいですよ。
ちなみに、演技を忘れた本物のファイトシーンになっちゃった場面もあってスタッフが凍りついたこともあるらしく(映画のラストカットに使ったらしい)、ジアマッティはリング脇から本物の声援を送っていたってパンフレットに書いてました(^^;

Posted by: りす | 2005.11.01 02:32 PM

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