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グッバイ、レーニン!


評価 : ★★★★
(2004/2/21公開 ドイツ/ギャガ 121分)

時代は変わっても、心は変わらない。

さて、ヨーロッパ映画祭で上映されていた最後の作品です。
2003年ベルリン国際映画祭でヨーロピアンフィルム賞、同年ヨーロッパ映画祭で作品賞、男優賞、脚本賞など様々な賞を受賞して、ドイツでは歴代の興行記録を塗り替えるほどヒットしたそうです。

内容は、1989年の東ベルリンを舞台に、十年前に夫が西側に亡命した反動で愛国心を強めて共産主義者の模範のような人になってしまった母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)と、姉アリアーネ(マリア・シモン)と3人で暮らしている青年アレックス(ダニエル・ブリュール)が、反社会主義デモに参加して警察と衝突するところを偶然母に目撃されるところから始まる。息子のことがショックで心臓発作を起こして昏睡状態に陥っていた母は8ヶ月後に奇跡的に覚醒するのだが、医師は「今度強いショックを与えたら命はありません」とアレックスとアリアーネに宣告。しかし、クリスティアーネが眠っていた空白の8ヶ月の間に、ベルリンの壁が崩壊して東西ドイツは統一し資本主義国家に生まれ変わり、アリアーネは簿記学校を辞めてハンバーガー屋でバイトをしてそこで知り合った西ドイツ育ちの男を家に連れ込んで家中を模様替えしていたり、アレックスはテレビ修理工場が閉鎖されて衛星放送チューナーの訪問販売員になっていたりと時代はクリスティアーネ一人の記憶を残して大きく変わっていた。アレックスは再びクリスティアーネに大きなショックを与えないように、アリアーネが模様替えした時に捨てたはずの家具を全部元に戻したり、東ドイツの崩壊を隠すために職場の同僚を巻き込んで偽番組を自主製作したり、もう手に入らない東ドイツのピクルスを探したりして、涙ぐましい努力で母親に崩壊前の東ドイツの姿を必死に見せ続けるというユーモラスな奮闘劇。

ドイツ映画だしベルリンの壁崩壊を描いているっていうからもっと深刻で真面目な硬い映画かと思ったらわかりやすくてけっこう上質のコメディとしても楽しめるセンスがあちこちに散りばめられた社会派映画でした。
テンポもいいし、新しい文化がなだれこんできて急速に時代が変わり行く感覚が面白く見られます。
最初は、撮り方がなんだかロックストックのシリーズみたいだなぁと思ったけど、重々しくないように激動の時代を表現するにはいい手法だなあと思いました。(ヒットしたからって一時期なんでもかんでもマトリックス撮り(笑)を入れてしまったハリウッド映画と違って、伝えたいことを表現するために必要な手法をとっているって意味でね)
主人公が時代の波に逆らっている姿も、一つ一つの作業が地味~なんだけどなんか面白い・・・必死さが逆にやり過ぎて滑稽な感じに見えるので(笑)
だって周囲は過ぎたことは忘れましょうとさっさと新しい文化に切り替えしていく最中を逆行していく姿って周囲から見ても滑稽だと思うんですよ。ものすごく古くて珍しいものを集めるアンティーク趣味とはまた違って、つい最近まであったものを探すんだもん、しかも若者がですよ。時代の最先端を積極的に取り入れるはずの若者が逆行するっていう姿がより滑稽で面白く感じるんだろうなあ・・・その証拠に姉ちゃんは時代の波にのまれることのほうが楽しそうだもん。

ストーリーも音楽もキャストも、そしてタイトルさえもよく出来てて、特にヘリで運ばれていくレーニン像と母の対面は秀逸。そこにテーマのすべてが詰まってると言っても過言ではないほどインパクト大!上手いなぁ(笑)

あと、もう一つのテーマとして・・・ちょっとネタバレになりますが。
お母さんは最後には息子が嘘をついていることを知ってたんじゃないかな。
知ってて騙されているふりをしていたんだと思います。具体的にそれがわかる描写がなかったので(看護婦とか夫と話しているシーンやテレビじゃなくて息子の顔を見ているシーンでなんとなく知っていることを匂わせてはいたと思うんだけれど)、多分、観てる人に考えてほしいってことなんだろうなあ。どっちもが騙し騙されしてる中に確実に親子愛が感じられました。

よく考えたらあんまり派手さのある映画じゃないんだよね。
そりゃベルリンの壁崩壊のシーンとかもあるけれど、あれって映画のためにセットを組み立てて再現したんじゃなくて実際のニュース映像を使ってるんじゃないかな。だから、ベルリンの壁の崩壊とか実際の時代背景をリアルタイムで知っている人のほうが面白く感じるかも。リアルタイムで知らなくても、当時の東ドイツについて知識を入れてから観たほうがわかりやすくて面白いかもしれない。その時代を生きているドイツ人だったら(特に東ドイツに住んでいた人だったら)間違いなく心に残る作品になるんじゃないかな。
コメディちっくだけど、社会風刺と家族愛というテーマがしっかり描かれているんで、「観た~楽しかった~終わり」じゃなくて後からいろいろ考えさせられる映画でした。

・・・ただ、特別派手な演出がないし、途中ちょっと中だるみするところもあるので、べつにわざわざ劇場で観る必要はないかなぁ~・・・いい映画なんだけどねぇ。どちらかというと自宅鑑賞向きかも。レンタルをオススメします。

# 旧作、企画上映で観たためパンフレット未購入。

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